想いは託される
たとえば小さなわが子のために
父と母とが見つけた名前
想いはあでやか
たとえば節目の前の日の
鴨井に掛かった小さな晴着
想いはつつましい
たとえば毎朝母の手が
渡してくれた弁当箱
想いはふかい
たとえばその日父親が
花嫁にむける静かな眼差し
想いはいじらしい
たとえば肩を叩いてくれる
ちいさな二つのこぶし
想いは生きつづける
たとえば今もこの胸にある
祖父の導き 祖母の励まし
折々に交わしあういくつもの想いは
折々にかたちを変えながら
そしていつでもあたたかい
たとえば握りかえす手のように